専門家アドバイス

パパ・ママが一緒に育児に取り組む時代へ

制度は整った。でも「手伝い感覚」が残る現実

2022年4月、男性の育児休業取得を促進する制度が導入され、社会全体で「パパの育児参加」が後押しされるようになりました。
しかし、現場ではまだ「手伝う」という感覚で関わるパパが多く、本格的な育児の“共同参加”には至っていないのが現状です。
そうした現状に対して、スマイルベビーの柳井めぐみさんとネムリノチカラのヨシダヨウコさんが共同開発したのが、パパ向け子育て準備プログラム『グッジョブダディ』です。
今回はこの取り組みの背景と目的について、柳井さんにお話を伺いました。

なぜ今、パパの育児参加が重要なのか

現在、共働き世帯が増加する一方で、男女の役割分担意識は根強く残っています。
そのため、家事や育児の負担がママに集中しがちで、無償労働時間の不均衡が深刻な問題となっています。
また、核家族化の影響で、母親が孤立しやすい傾向も強まっています。
柳井さんはこう語ります。
「パパが積極的に育児に参加することは、産後うつや虐待の予防にもつながります。家族がチームとして取り組む育児の仕組みが、今こそ求められています」

育児は“家族チーム”で取り組むもの

育児においては、男女間で認識や価値観のギャップが大きいことがしばしばあります。
このズレを解消するには、正しい知識を夫婦で共有し、「任される」のではなく「共に担う」意識づけが大切です。
柳井さんは、「パパが自発的に参加するための準備と学びが、共育ての第一歩」と強調します。

産後クライシスを防ぐ重要性

研究では、女性の愛情曲線は結婚直後に最も高まり、出産後に急落する傾向があることがわかっています。
この低下は数年続くことが多く、その間にパートナーがどれだけ協力的に育児に関われたかが、その後の夫婦関係に大きな影響を及ぼします。
つまり、パパが「一緒に育てる」姿勢を持つことが、家族関係の質と、パパ・ママそれぞれの心身の健康維持につながるのです。

実績紹介①:パパのための両親教室

スマイルベビーでは、オンラインでパパ向けの両親教室を開催。
内容は赤ちゃんのケア方法、泣き止ませ方、睡眠、ママの心と体の変化についてなど、多岐にわたります。
参加者からは以下のような感想が寄せられています。
「遊び方について具体的に学べた」
「今のやり方が合っているか確認できた」
「睡眠について正しい知識が得られた」

実績紹介②:ママの復職準備プログラム

また、保育園入園が決まったタイミングで毎年開催されているのが復職準備プログラムです。
このプログラムでは、睡眠の大切さ、夫婦でワンチームになるための工夫、カウントダウン式スケジュールの立て方などを取り上げ、復職を控えたママたちを支援します。
参加者の声:
「夫と話し合っていないことが多かったと実感」
「家事分担について相談するきっかけになった」
「復職に向けて頭の中が整理された」

今後の展開:誰でもアクセスできる支援を目指して

今後は、健康保険組合などへの導入を視野に、より多くの人が参加しやすい環境づくりを進めています。
忙しい家庭でも活用できるよう、オンデマンド形式の録画配信も予定されています。
柳井さんはこう締めくくります:
「パパとママが一緒に、安心して子育てを始められるよう、私たちがしっかりとサポートします。ご興味のある方は、ぜひスマイルベビーまでお気軽にご相談ください」

柳井めぐみ

スマイルベビー代表/助産師、保健師、看護師
1997年に助産師になってからこれまでに関わった母子は7000組以上。
総合病院、助産院での勤務、出張開業を経て、2018年に横浜市保土ケ谷区に産後のママのための助産院「スマイルベビー」を開設。両親教室、母乳外来、出張訪問による母乳育児相談、オンライン相談などを行い、育児のサポートを行っている。
特に初めての子育ては分からないことばかり、正解が分からず不安に感じながらも、手探りで一生懸命育児を行っています。少しでもそんなパパとママの役に立ち、赤ちゃんの健やかな成長に貢献したいと思い、活動している。

https://smilebby.com/