産後ケア意識は、お母さんも、家族も一緒に
妊娠中はお腹に赤ちゃんがいることから体への意識が高まりますが、出産した直後から育児に追われて自らの変化を見過ごしてしまいがち。「心も体も限界」そんな状態になる前に、リカバリーすることが大切です。心がけたいのは、妊娠中同様、健康の三大要素の「運動」「食事(栄養)」「休養」ですが、中でも「休養」はとくに重要。お母さん自身はもちろん、家族など周囲も一緒に、産後ケア意識を高めましょう。
産後1か月を過ぎたら適度に体を動かす
産後に体を動かすことは、分娩によってダメージを受けた心と体の回復や体重の増加の抑制、そして精神的な症状の予防や改善などに役立ちます。前回お話したように産後すぐは休養が第一ですが、1か月健診で医師の確認がとれたら、赤ちゃんのお世話の合間にできるストレッチなどから始めましょう。
赤ちゃんのお世話は疲れにくい姿勢で
授乳やおむつ替えでは猫背になり、抱き上げる時は腰をかがめ、抱っこするときには逆に反り腰に……。赤ちゃんのお世話をする時、お母さんはとかく不自然な姿勢になりがちです。その一時いっときは気にならないかもしれませんが、毎日何度と繰り返すうちに、徐々に疲れがたまります。授乳クッションやおむつ台、スリングや抱っこひもなどのグッズを上手に利用して姿勢を工夫すると、予防や軽減になります。
食事はバランス良く。水分も十分に
元気な体づくりに食事は欠かせません。妊娠中同様、バランスの良い食事を心がけましょう。とくに母乳をあげているお母さんは、エネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどが不足しがちなため、意識したいもの。また母乳は血液からつくられるため、スイーツなどの嗜好品や脂っこい食事のとり過ぎには注意し、水分は十分に。産後は育児が忙しくバランスの良い食事の準備だけでなく、食事の時間の確保すら難しいものです。買い物や食事づくりを家族に頼んだり、宅食を利用したり。地域によっては、行政が提供する産後ケアサービスで、家事代行や赤ちゃんの見守りを利用できるところもあります。なんでも自分でやろうとせずに、サポートを活用しましょう。
お母さんファーストの休養を
赤ちゃんの誕生によって、産前と産後の生活は劇的に変わります。当たり前にできていたことが、当たり前でなくなる。休養についても、どんなに心と体が欲していても「休みたいのに、休めない」のが産後です。それまでは「今日ちょっと仕事をがんばったから、明日の休日はのんびり過ごそう」など自分のペースで調整できていたことが、まったくそうはいかなくなります。また赤ちゃんが寝てくれるとつい家事などに充てたくなってしまいますが、自分の時間ができたら、「何をおいても、まずは休む」くらいの気持ちで。時間の確保が難しい場合は、短時間でも信頼できる人に赤ちゃんを預けて眠る、入浴するなど、周囲と相談しながら、お母さんの心と体を第一に過ごしましょう。