専門家アドバイス

【産前ケア編】妊婦さん&産後ママと支える人ためのリカバル講座

妊娠中のプレママや、出産した産後ママの疲労とリカバリーについて、スポーツ科学の視点からウィメンズヘルスの研究をされている野村由実さんにうかがう本企画。今回は、妊娠中の過ごし方についてご紹介します。

健やかな心身づくりは、健康の三大要素から

前回、出産に向けて、女性の体にはさまざまな変化が起こることをお話しました。赤ちゃんが生まれてくるためには必要なこととはいえ、しんどい状態が続くのはつらいもの。健康の三大要素「
運動」「食事(栄養)」「休養」を基本に、健康で快適な妊娠期間を過ごしたいものです。

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適度に体を動かす

妊娠中はもちろん、産後の体力の回復や心の揺らぎなどにも。適度に体を動かすことは、産前産後のお母さんの健康や疲労の軽減につながります。妊婦さんにとっては、家事や軽い散歩、ストレッチなども立派な運動のひとつ。また、妊娠中に行えるヨガや水泳などもあります。
妊娠初期から後期までさまざまな体の変化が起こり、またお腹の赤ちゃんへの影響も考えて、運動の強度や内容は医師と相談の上行うようにしましょう。

体調を考慮しながら、食事はバランス良く

妊娠中の体調の変化は、食の好みや量にも影響を及ぼします。中でも多くのお母さんが悩まされるのは、つわりの影響ではないでしょうか。食事をとることが難しい時は、食べられるものを少しずつこまめに食べる、また、嘔吐などによる脱水を防ぐために水分補給も大切です。
また、いわゆる「食べづわり」や「赤ちゃんのために」と、食べ過ぎてしまうことにも注意が必要。体格に応じた体重のコントロールがポイントです。

休養は積極的に!

妊娠がわかると、「赤ちゃんのための準備を整えなくては」「仕事に迷惑がかからないようにしないと」など、がんばり過ぎてしまいがち。しかし妊娠中に起こる体調や精神的な変化で、思いのほか疲れやすくなっています。
妊娠週数が進むとお腹が大きくなってとくに寝づらくなりますが、リカバリーの基本は、やはり睡眠です。抱き枕を使ったり、「シムス体位」と呼ばれる横向きの姿勢をとるなど、少しでも快適に寝ることができるよう工夫してみましょう。
それだけでなく家事や仕事中も、「疲れたと感じたら、こまめに休む」を習慣に。入浴も効果的ですが、熱いお湯に長時間はNG。ぬるめのお湯に10分以内を目安につかるのが良いとされています。

野村由実

千葉工業大学 創造工学部 教育センター 助教
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科を卒業後、日本体育大学 体育学部 助教などを経て2022年4月より現職。
スポーツ医学やヘルスプロモーションをはじめウィメンズヘルスの調査研究にも取り組み、産前産後の女性の支援も行っている。