出産・産後に対する印象、「大変」83%に対し「幸せ」は65.2%。
これは944人に行った産前産後調査*における女性の回答です。
「幸せ」が増加しているものの、相変わらず「大変」の方が多い状況です。

女性の社会進出を目指す世の中において共働き世帯も増加。
働くママたちやそれを支える家族、周囲のサポートがますます重要になり、
今までのシステムでは産後育児が成り立たなくなりつつあります。

私たち産後リカバリープロジェクトは、
同調査結果及び、専門家の意見などに基づき、
女性のはたらくと産前産後の課題を
「10の重要課題」としてまとめました。

産後ケア施設など、必要性の高まりによって出現した
サービスや仕組みについて学びながら
「はたらく産後ママの現在地」をアップデートし、
世の中のより多くの人と、考えていきたいと思います。

*産後リカバリープロジェクト :産前産後の課題に関するアンケート2024

知らなかった産前産後 10の重要課題2023 発表

No.1産後は孤独な状態に陥りやすい

産後女性において、家族以外の友人、職場の同僚、その他社会の人々との交流が全くない人の割合は3割強。子連れで行ける場所と時間帯は限られてしまうことや、友人や職場の同僚とも生活時間が変わってしまうことなどから、出産前と同じように交流をもつのは難しい状況があります。産休・育休中に会社とのつながりがなくなることで社会から取り残されたような気持ちになり、孤独感を増幅している場合もあるようです。

FACT[家族以外の友人、職場の同僚、その他社会の人々との交流]が全くない人の割合

産後女性35.0

出典 日本リカバリー協会:ココロの体力測定2021

暇な訳ではないはずなのに、毎日毎日変化のない同じ事の繰り返しでメンタルが崩壊しかけたため、必ずしも育児をサポートしてくれる立場ではなくとも、ただ話し相手になってくれたりする相手が必要だと強く感じた。(30代女性)

出産まで仕事をしていると、育休中はその関わりがなくなり、言葉の通じない赤ちゃんのとの2人きりの生活は会話がなく孤独を感じやすい。(30代女性)

No.2結局育児と仕事はトレードオフ問題

産後期には身体の変化や疲労もあり、産休明けの仕事復帰、家庭との両立への不安が高まります。産後期女性の4割以上が職場復帰への不安を抱えています。
育児と仕事の両立と自身のキャリア形成について悩み、諦めたりするケースも多々あるようです。

FACT末子妊娠判明当時の仕事を辞めた理由

仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた
(就業を継続する ための制度がなかった場合を含む) 
28.5

出典 厚生労働省:令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業
仕事と育児等の両立支援に関するアンケート調査報告書/p>

FACT産後女性のプレゼンティズム低下での経済損出

17.3(1.15倍)

出典 日本リカバリー協会:ココロの体力測定2023

結局時間を仕事に充てるか子供に充てるかというパイの取り合いになるので、自分が仕事に注力することで子供への関与度が低くなるので罪悪感が生まれ、頑張っていることに対して自身が満足できない状況が続く。(30代女性)

平日は毎日保育園に子供を預けるが、時短勤務をしていても、他の子どもさんよりもお迎えが遅くなり、いつも最後まで残ってもらっている。今しかない幼い子供との時間なのに、そこまでして働く必要があるのかとも思う。経済面で考えれば仕事は辞められないが。(30代女性)

No.3自分の自由時間が1時間未満の人が7割

出産直後からずっと自分のペースでは過ごせない日々が続き、社会復帰をすると更に、家事と育児に仕事が加わります。自分のための時間はほとんどないという産後女性は3割強。同世代女性の2倍以上です。もちろん子供と一緒にいる時間も意思ではあるものの、自身のケアすらおろそかになってしまい、自分の時間について考えられていない人も多いのではないでしょうか。

FACT自分の自由時間(趣味、ケアに費やす)が1時間未満

産後女性 68.5(同年代女性の1.56倍)

出典 日本リカバリー協会:産後リカバリー白書2023(ココロの体力測定2023)

自分の時間をコントロールできない。 自分のスケジュールを自分基準で立てられない。(20代女性)

時間も心の余裕もなく自分のことをケアすることができない。(30代女性)

No.4家事育児の負担は産後女性に偏ってしまう現状

男性の育休の浸透も進んではいるものの、依然として家事分担の割合等は妻の割合が大きく、家事分担に不満のある女性は約7割。男性側としても家計を支えるというミッションを抱える中、思うように時間が作れず悩むことも。夫婦の分担のみならず、家族や行政、周りのサポートをフル活用し、産後女性の負担を軽減する方法を探っていく必要があります。

FACT家事分担の割合

妻 80.6

夫 19.4

出展 国立社会保障・人口問題研究所 2022年社会保障・人口問題基本調査

出産した後に身体を休めるヒマがない。(30~34歳・女性)

眠れない、四六時中休めない状況で、どんなサポートがあれば産後の本人(自分)にとってよいのか、本人でもわからない。(40代女性)

自治体のサポートやベビーシッターもあるが、夜もずっと家にいてくれるわけではないし、依頼するにも調整など大変。また子供も簡単になつかなかったりする。(60代男性)

産後余裕のない状況で、パートナーに1から全部説明したり教えたりしなければならないのは非常に負担が大きかった。(30代女性)

No.5男性側の働き方に柔軟性がない

男性側にもっと育児に関わりたい気持ちがあっても、お金や制度等の壁によって時間をなかなか作れない現状があります。男性の育休も浸透してきましたが、復帰後に時短勤務制度や残業免除制度を利用するのはまだまだ女性が圧倒的に多数です。リモートワークや時短勤務の活用で、夫婦で一緒に育児ができる環は作れるのではないでしょうか。仕事と育児の両立をする男性への、周囲の意識改革も重要です。

FACT育児のための短時間勤務制度「利用している」又は「以前は利用していた」

女性・正社員 51.2

男性・正社員 7.6

出典 厚生労働省 今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」

FACT育児のための残業免除制度「利用している」又は「以前は利用していた」

女性・正社員 27.1

男性・正社員 6.5

出典 厚生労働省 今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」

キャリア形成という面で課題があると感じています。当社では多くの女性社員は時短勤務ですが、男性で時短勤務というのはあまり聞いたことがないです。会社の働き方自体が男性主体の為、管理職の伸び悩みも根本的な働き方の問題にあるように感じます。(30代女性)

働き方が独身、子供がいない時期と異なり遅くまで残ってやればいいという状態が出来なくなることと、収入も自分(夫)のみになるため業務を遂行せねばという板挟みの意識が常に付きまとう。また、周囲の同僚は容赦なく以前と変わらない負荷や無駄に思える会議を入れてくるので、ストレスが多い。(30代男性)

No.6個々人で産後の状態・環境に多様性がある

パートナーの労働環境、頼れる親族の有無、子どもの健康状態、自身の心身の状態などなど。様々な変数で個々人の産後の状態や環境は異なります。個人のセンシティブな問題であったり、周りからは分かりにくい要素であったりすることも多く、人に相談しづらいことを抱えていることも多々あります。そんな中で、会社側は産休育休復帰後にどのように働きたいかを先入観で決めず、一人ひとりとの対話を深く行うことが重要かもしれません。

FACT職場復帰のタイミング(意向)は個人差が大きい

出産を機に退職(する予定) 35.2

産休中・1~2か月後に復帰予定 9.6

産休中・3~6か月後に復帰予定 15.9

産休中・7~12か月後に復帰予定 25.7

産休中・1年以上後に復帰予定 13.6

出典 日本リカバリー協会:産後リカバリー白書2023(ココロの体力測定2023)

自身の経験からとなりますが、子どもに出生時の病気・障害があり 仕事との調整 治療のための大病院への通院 自身の精神的な負担・不安定さ、などが当時は悩み・課題でした。(30代男性)

個人情報の保護など色々あるけど、個人の状況がある程度オープンにならないと理解もしてもらえないので、職場の中で何でも話せる環境づくりがある上で、個人の都合がある程度理解してもらえて、お互いにサポートし合える環境の中で福利厚生をしっかり活用できる会社で働けたらいいな、と思います。(40代女性)

No.7産後ケア施設を利用した人は11%程度

母子保健法の改正により、令和3年度から「産後ケア事業」の実施が市区町村の努力義務となりました。現在1,462(約84%)の市区町村で実施されているものの、実際の利用者は10.9%にとどまっています。
そういった施設の存在すら知らない、どうやって利用してよいかわからない、という人もまだまだ多いのではないでしょうか。施設枠の拡大、利用対象者の拡大、利用フローの簡素化、周知等様々な課題があります。

FACT産婦の産後ケア施設利用率

11

出典 こども家庭庁 産後ケア事業 令和7年度概算要求資料

産後ケアの充実。市の産後ケア事業で産婦人科へのステイを利用できたが、申請から時間がかかることを知らず遅れた。また予約が多く電話した2~3週間後の利用になった。電話したそのときがしんどく助けてほしいから電話したのに、まだ数週間耐えなければならないのかと泣いた。まだまだ数が足りない。もっと増やしてしてほしい。(20代女性)

産後ケアのホテルなどがあるが気軽に活用出来る値段ではないため、補助があると嬉しい(私の自治体は、家族のサポートが見込みづらい人でないと補助が活用できなかった)(30代女性)

No.8制度の充実と女性の働き方の変化のいたちごっこ

パパ育休制度の拡充や産後ケア施設の制度拡充が進み、サポート制度は日々進化していますが、それを上回る勢いで女性の働き方も変化しています。専業主婦世帯数と共働き世帯数が逆転してから約30年、働くママの割合は増え続けています。世の中の変化に合わせた制度のさらなる充実、多種多様なサービスの情報が必要な人へと届けられるような仕組み作りも求められます。

FACT産後女性の就業率の増加

第1子出産後も継続就業 69.5

出典 内閣官房こども家庭庁設立準備室 こども・子育ての現状と若者・子育て当事者の声・意識

出産を控えて、国や行政の施策、会社の施策などがわかった。かなり優遇されている意識になったし、さらに変わっていく動きも知れた。 プロセスや情報をもっとわかりやすくまとめたり、ポジティブなことをまとめてもいいと思った。(30代男性)

両立はかなり難しい。在宅で働くこともでき、働きやすい環境ではあるものの、キャリアや経済的なことを考えると時短という選択肢はなく、基本的にはフルタイム勤務になり、業務量と責任が重く、精神的、体力、時間どれをとっても両立に限界を感じつつある。(30代女性)

No.9職場と自治体の制度を使いこなせていない

産後に利用できる制度や育児の相談場所、産後支援の情報。産後女性の約7割が「これは出産前に知っておきたかった」と感じたことがあったと回答。国、自治体、企業による様々な制度やサービスが用意されていても、その情報にたどり着けず、また手続きが複雑で必要な時に使いこなせないという問題もあります。

FACT産後、「これは出産前に知っておきたかった」と感じたことはありましたか

かなり多くある・ある 67

出典 産後リカバリープロジェクト :産前産後の課題に関するアンケート2023

育児不安に対する相談先が少ない。
産後ケア施設が県内に少ない。補助も市町村によってあったりなかったりと差が激しい。(40代女性)

読んでも結局自分が対象なのか対象外なのか読み取れない。本人の情報を取りに行く意識の問題もあるかもしれないが、情報発信の仕方、内容の問題も大きい。(40代男性)

No.10産休・育休で周囲へ負担をかけるプレッシャー

産休・育休での人員減、復帰後も子どもの都合で休んだりすることが増えるなど、働くママは周囲への申し訳なさを感じてしまいがちです。人員の補填や、それができない場合の対策など、制度を使わない側への配慮も含めて設計していくことで、当事者の心理的負担が減る可能性があります。

FACT今回の妊娠・出産、産後期間に感じた不安や負担

職場・仕事関係 22.2

産休・育児休業中 33.5

出典 厚生労働省:平成29年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業
妊産婦に対するメンタルヘルスケアのための保健・医療の連携体制に関する調査研究 P74・75

FACT男女雇用機会均等法に関する相談件数

婚姻,妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い 4,769

出典 厚生労働省:令和3年版男女共同参画白書(男女雇用機会均等法に関する相談件数)

取る側としては非常に取得しやすい環境になった。 一方で残る側(欠員が出る職場)にとっての課題や悩みがクローズアップされていないのではないかと思う。(30代女性)

男性でも休暇取得しやすい環境と、産育休中の同じ職場に所属する社員のサポート。産育休を取得すると同僚の仕事の負担が増えることが多いと思うので、人員の確保が出来ないのであれば金銭的に追加の給与を出すことはできないのか?(20代女性)

データ抽出情報はこちら

10月10日は
「産後リカバリーの日」

当プロジェクトは、出産直後から心身ともに多忙な
「産後のお母さん」の疲労を改善するために、
お母さん自身が自分の心と体をいたわり、支える家族や周囲の人、
社会がお母さんの疲労に目を向けるきっかけの日となるよう、
10月10日を「産後リカバリーの日」としました。

日付は妊娠期間をいう言葉「十月十日(とつきとおか)」に
由来したもの。「妊娠から出産までと同じくらいの産後期間、
心と体のリカバリーも大切にしてほしい」との思いを込めています。

産後リカバリープロジェクト
とは?

「産後」を一つのターニングポイントとして
正しいヘルスケア知識を広げ、日本人の生涯にわたる健康や QOL、
子どもの健全な成長をもっと社会で応援していくために
「産後リカバリープロジェクト」を立ち上げました。

詳しくはこちらのサイトへ

「産後リカバリーの日」企画
協賛企業・団体一覧

(順不同)

産後リカバリープロジェクト
参画企業

株式会社ベネクスタカラベルモント株式会社株式会社大広
(大広フェムテック・フェムケアラボ)
SOMPOひまわり生命保険株式会社プレミアアンチエイジング株式会社株式会社ポーラ株式会社ビ・メーク日本トイザらス株式会社塩野義製薬株式会社アサヒ飲料株式会社三菱地所株式会社

(入会順)
※2024年10月10日現在

オフィシャルサポーター(敬称略)

スマイルベビー 柳井めぐみネムリノチカラ ヨシダヨウコ一般社団法人ヨガセラピスト協会 二ノ宮な奈歯科衛生士 石丸ゆき江帝王切開カウンセラー 細田恭子千葉工業大学 野村由実みそら保育園 伊藤幸恵東京医療保健大学 米山万里枝

(順不同)

後援

一般社団法人日本疲労学会一般社団法人
メディカル・フェムテック・コンソーシアム

協力

神奈川県神奈川県未病産業研究会

新規ご加入企業・団体様も募集しております。
ご相談は下記までご連絡ください。

産後リカバリープロジェクト

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